イエテボリ大学一日学校(日本スクーリング)を受講してきました。
これから歯科に革命を起こすスウェーデン式歯科治療です。
直接スウェーデンのイエテボリ大学歯科主任教授のピーター・リングストルム教授と、スウェーデン歯周病学会会長のステファン・レンバード教授によるレクチャーでした。
これからの時代はMI治療(minimalintervention:ミニマルインターベンション)といって出来るだけ健康な歯質を残す必要最小のう蝕除去方法が無痛治療と共に必要になってきます。
今回は衛生士の小林さんと一緒に一日大学に入講いたしました。
実際当クリニックでは今回のように爆発的に人気が出る以前に取り扱っていました。
一度販売中止になったのでホームページから消して、このカリソルブに代わるiconによる無痛治療を行っていました。またクリニックでも取り扱い、カリソルブでお願いします!という患者様が増えています。歯周病が部分的に進行している患者様で外科治療を行いたくない方はペリソルブ治療を行い患者様にとって優しい治療となっています。
さて、このカリソルブですがスウェーデンの歯科大学、工学大学そして複数の研究機関とメディティーム・デンタル社によって1987年より10年間にわたり研究・開発されました。一般臨床へは1998年よりスウェーデンを中心に導入され、私が取り扱っていた頃は世界47か国で臨床導入されていましたが現在はもっとたくさんの国で導入されていると思います。
このカリソルブ溶液は次亜塩素酸ナトリウムに3種のアミノ酸の混合液、塩化ナトリウム、カルボキシメテルセルロース、水、水酸化ナトリウムを加えたものでPHは「1」強酸性です。
次亜塩素酸にアミノ酸を加える事で起こる酸性化反応により、細菌に侵された有機質が殺菌され溶解するシステムです。
エナメル質などの無機質には影響を与えません。
有機質が多いと処理が容易、無機質が多いと複数回繰り返さなければいけませんので、時間はかかります。
つまりころっと大きな虫歯の場合は速い処置になります。
この混ざり合ったクロラミン製品は
①壊死組織を軟らかくする⇒壊死組織を除去しやすくする。
②健康な組織には影響を与えない⇒低侵襲性
③抗菌性⇒カリソルブを使用する部位を殺菌する。
④非毒性⇒アレルギー反応や歯髄への為害作用の報告はありません。
このようにカリソルブはタービンなどの音の出る機器を使用する頻度が少なくなり、音が嫌いな患者様におすすめです。
麻酔が嫌いな患者様も局所麻酔の使用が極めて少ないので安心です。
健康は歯質には作用しませんので再石灰可能な部分を保存することができる。
タービンの弱点をカバーします。静かな治療が可能になり、心理的な治療効果は大きいと思います。
ペリソルブは歯周病、いわゆる歯周ポケットをターゲットにしたものです。これも次亜塩素酸をアミノ酸に入れることにより起こる酸性化反応により細菌に侵された有機質が殺菌され溶解するというものです。
・バイオフィルムを溶かして上皮細菌を殺菌
・ピンポイントで強力な殺菌力、抗菌力を発揮
・歯周ポケットの菌に侵された上皮細胞を正常細胞へと入れ替える
・細菌に侵された部分(細胞)に作用し、健康な組織を損なわない。
カリソルブと同じベネフィットがあります。
下の5つのメリットがあります。
①歯周病ポケット中の細菌及び上皮細胞の中の細菌が殺菌され、スケーリングの時に有害菌が患者様の体内への
侵入を防ぐことができます。
②スケーリングによる菌の飛散を防ぐ事が出来るので二次感染の予防ができます。
③歯石・歯垢が殺菌され取れやすくなるため患者様の負担も最小限で、術者の作業も容易になります。
④人体に無害なので安心です。
⑤健康な組織に影響を与えず、細菌に侵された上皮細胞だけを除去できます。
この虫歯と歯周病にやさしい治療方法はどんどん普及していくと思います。
ぜひ『カリソルブで!』『ペリソルブで!』とお声かけください。
講習が終わった後は喉がカラカラ…
衛生士・小林さんとさくっとビールでのどを潤して帰宅となりました。
明日からの治療に患者様の笑顔が増すと思うとわくわくです。