喫煙が健康にとって有害であることは、既に御存じと思います。
悪性腫瘍、糖尿病、高血圧症、動脈硬化などの生活習慣病の全てに喫煙が悪影響を及ぼしていますが、歯科においても歯周病を引き起こしやすく、悪化させる原因になっています。
歯は、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨からなる歯周病組織に支えられていますが、この歯周組織に起こる疾患を歯周病と言います。
これは、口腔内の細菌(口腔常在菌) 歯周病菌による感染症ですが、歯周病も歯磨き習慣や食習慣と関連するので生活習慣病に入ります。
また、歯周病菌は、糖尿病、心臓血管障害、肺炎、早産などに重篤化させます。
喫煙もニコチン中毒と云う生活習慣病です。
そのニコチンによって口腔内に病原菌が繁殖し、毛細血管の微小循環が悪くなり、歯周病が悪化し、歯がぐらぐらして 抜けおちることもあります。
ここ10年の統計により、喫煙は歯周病にとって最も危険な因子の一つだということが強調されてきていますし、10年間で失う歯の数がタバコを吸わない人に比べて約3倍という報告もあります。
歯周病菌が繁殖するばかりではなく、タバコにより免疫力が低下することによって歯周病の治りが悪くなります。
タバコの煙のタール、ニコチン、一酸化炭素の中で、発癌性の強いタールは歯の表面に黒く沈着します。ニコチンでお口の中の血のめぐりが悪くなり、一酸化炭素でさらに血液中に十分な酸素が運ばれなくなります。
その結果、抜歯後の傷口の回復、歯茎の処置後の治り具合、インプラント手術後の成果が落ちるなどあらゆる歯科の処置に悪影響を及ぼします。本当に当クリニックにおいても手術の予後に影響しています。
愛煙家の方には耳の痛い話かもしてませんが、ご自分を守るため、ご家族を守るため、周囲の方を守るため、是非禁煙しましょうね。